夫婦の恩と義――節婦・蕭意辛の物語

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「偕老同穴」という言葉があります。夫婦は仲睦まじく、ともに老い、やがて同じ墓に葬られることが理想だという意味です。

 

ところが最近、「私は絶対、主人とは別のお墓に入るわ」などと、そこに入る前から宣言されている奥様も少なくないとか。まあそれには、それなりの個別的「理由」があるとは思いますが、やはり結婚式を挙げたあの若い日、二人で永遠の誓いをたてて結ばれた夫婦です。

 

願わくは、いつまでも仲良く、いたわり合って暮らしたいものですね。

 

さて、ここにご紹介するのは、どこまでも夫につき従い、苦難をともにする貞淑な妻の物語です。現代の私たちも学ぶところが多いと思います。

 

昔、中国の「遼」国に蕭意辛(しょう いしん)という名前の女性がいました。

 

場所は中国の北部。今でいうと北京を含む河北省・山西省・遼寧省あたりの広大な土地に、耶律阿保機(やりつあぼき)が建てた遼(907~1125)という国がありました。

 

これは漢民族ではなく、契丹族という北方系の騎馬民族が建てた国です。

 

漢民族の宋朝とは対立する関係でしたが、遼は次第に漢民族の文化つまり中国伝統文化を取り入れて、漢式の政治制度を作ったり、漢字を参考にして作られた「契丹文字」で文書を記録したりしていました。蕭意辛は、その遼の後期の女性だったようです。

 

蕭意辛の父親の名前は陶蘇斡。母親は遼の皇族の娘だったため、意辛も母方の姓である蕭氏で呼ばれています。

 

蕭意辛は、若い頃から美しく聡明な女性でした。彼女はもちろん契丹族の出身でしたが、礼儀を重んじ、夫の家族や親族と睦まじく暮らすなど、中国女性の伝統的な美徳をよく身につけていたのです。

 

彼女は20歳で嫁ぎ、耶律奴(やりつど)の妻になります。「奴」という名前は変に思われますが、異民族の人名にこういう良くない意味の漢字をわざと当ててしまうのは、漢民族のちょっと困った癖なのです。

 

その蕭意辛がある日、夫の兄弟の嫁たちと談笑していたところ、こんな話題になりました。 嫁たちが言います。

 

「ねえ、夫の心をもっと引き付けて寵愛を得るためには、どんな魔魅の呪術を使ったらいいかしら」

 

魔魅の呪術とは、低いレベルの霊や幽鬼を操って人を惑わせる邪法のことです。そんな怪しげな呪術を使えば、人間に恐ろしい害があるに決まっています。

 

蕭意辛は、こう言いました。

 

「そのような邪法は、礼法のすばらしさにはとても及びません」

 

嫁たちがその理由を訊ねると、蕭意辛はこう答えたのです。

 

「ひたすら自己の修養に努めて、自身のふるまいを端正にするのです。そして規範に則って行動する、例えば年長者には恭しく仕え、親には孝養を尽くし、目下の者には寛容な心を持ち、夫には温かく柔順な態度で接するのです。これこそが礼法です。これができたならば、私たち妻は、夫の尊敬と惜しみない寵愛を獲得することができます。邪法などに頼って夫の寵愛を得ようとすれば、必ず後悔することになるでしょう」

 

それを聞いて嫁たちは皆、恥じ入ったといいます。

 

蕭意辛と耶律奴。仲睦まじい夫婦の間に、何年かの歳月が過ぎた後のことでした。

 

なんと夫の耶律奴が、佞奸(ねいかん)の誹りを受けたため、罪もなく遠い地へ配流されることになってしまったのです。

 

蕭意辛は皇族の血を引く女性でした。そこで遼の皇帝は、なんとか蕭意辛と耶律奴を離婚させようとしました。

 

皇帝の命を聞いた蕭意辛は、次のように答えました。

 

「皇族の血縁者である私に、配流の地へ赴く苦労をさせまいとする陛下の大いなるご恩情、誠に有難く存じます。しかしながら、夫婦の間には道義があってしかるべきもの。生死さえ相随うのが夫婦の道ならば、禍患もまた夫婦一緒にお受けいたしましょう。私は若くして耶律奴に嫁ぎ、その妻となりました。今、夫に苦難がふりかかったからといって私が夫のもとを離れたら、まさしく礼の教えに背くもの。どこに禽獣と区別がありましょうか。陛下がお情けをもって私どもを憐れんで下さるなら、どうぞ私を夫の行く先へ同行させてください。それで私が死んでも、決してお恨みはいたしません」

 

蕭意辛の言葉を聞いた皇帝は、非常に感動し、蕭意辛の願う通りにしました。

 

配流の地に着いてからの蕭意辛は、毎日が苦労の連続でした。しかし彼女は、一言の恨み言もなく、ますます礼をもって、恭しく夫に仕えたといいます。

 

 

用什么办法 才能取得丈夫宠爱

 

辽国耶律奴的妻子叫萧意辛。一天,萧意辛听到她的妯娌们在谈论如何用邪法来取得丈夫宠爱。萧意辛就说:“用邪法,不如用礼法好!”大家就问她:“怎样按礼法去做?”

 

萧意辛说:“所谓礼法,即自己的行为要谨慎,奉侍长辈要恭敬,对待丈夫要温顺,对小辈要宽容,如果这些都做到了,丈夫自然就很宠爱你了。”妯娌们听了,都觉得既惭愧又佩服。

 

后来,萧意辛的丈夫,被奸臣诬告,罚去充军,萧意辛就奏请皇上准许她跟丈夫一起去。在充军的地方,萧意辛一边做着繁重的劳役,一边服侍丈夫,并没因丈夫的充军而懈怠了礼仪,反而对丈夫更加照顾和敬重。皇上听说了他们的事后,深受感动,终于下令释放了他们。

 

当时,世风日下,豪门女子都不知道怎样侍奉丈夫,就采取各种手段甚至是邪门歪术来讨得丈夫的宠爱和欢心。这些做法,跟萧意辛的道德礼法比起来,实在是差得太远!客观地说:礼法,真的只有礼法,才能换来夫妻间的相互尊重和真正的相亲相爱啊!

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