中国の深刻化する若者失業問題：希望を失った若者たちの叫び
中国では、深刻な若者失業問題が深刻化しています。特に2024年は、過去最高となる1179万人の卒業生が就職活動を行うという厳しい状況を迎えています。
中国の大都市では、厳しい就職状況が続いており、特に若者や新卒者たちが苦しんでいます。広州のある電子工場で労働者を募集する担当者が「時給は9元」と声を張り上げる場面があり、多くの大学生がそのわずかな仕事を求めて集まっています。近年、低賃金の仕事が再び現れ、広州や深圳の労働市場で多くの人々が厳しい現実に直面しています。
深圳市の龍華バスターミナルでは、仕事が見つからず、路上で寝泊まりしている出稼ぎ労働者の姿が多く見られます。多くの若者が就職活動に苦しみ、ある者は何日も食事ができず、深圳へ希望を求めて移動しますが、コメント欄には「深圳でも仕事は見つからない」といった声が相次ぎます。数年間深圳で働いている女性は、現在の深圳が労働者にとって厳しい場所になっていることを警告しています。
工場での試用期間中に解雇されるケースも多く、ネット上では「工場が常に安く新しい人を雇うために使う手口」との指摘が見られます。また、今年の大学卒業生の多くが就職できずにいるという現状があります。2024年の大学卒業生は過去最多の1179万人に達しましたが、半数以上が未だに職を見つけられていません。
大学を卒業したばかりの若者たちは、毎日履歴書を送り続けてもほとんど返答がなく、あっても期待外れで終わることが多いと嘆いています。特に地方の無名大学を卒業した若者は、条件を下げても満足のいく職を見つけることができません。彼らは「大学進学の意味を疑問に思う」などと悩みを抱え、農村部出身の学生はコネやバックグラウンドがないため、さらに不利な状況に置かれています。
SNSで注目を集めたのは、山東省の22歳の女性が「大学に進学した意味は何だったのか」と投稿し、スーパーマーケットでアルバイトをしながらも生活が厳しい現状を語ったことです。大学卒業者の多くが就職市場で苦戦し、「将来の見通しが立たない」と感じています。
さらに、若年層の失業率は6月時点で13.2％と高止まりしており、大学卒業生が労働市場に参入することでさらに悪化すると見込まれています。こうした状況下、中国当局はデータの改ざんや虚偽の就職証明書の提出を黙認し、表面的には問題を隠蔽しています。多くの学生が虚偽の証明書を作成して卒業証書を受け取る現状が浮き彫りになっています。
中国の就業基準は非常に緩いため、週1時間でも働けば就業とみなされることが多く、失業率が実際よりも低く報告される傾向にあります。さらに、農村地域や家庭の主婦、学生などは統計から除外されているため、公式の失業率は実態を反映していないとされています。
また、民間企業が経済の低迷により倒産やリストラに追い込まれているため、新卒者の就職先が減少しています。ある女性は、ジュエリー業界が冷え込んでおり、大きなオフィスが空っぽである現状をSNSで報告しています。中国の不動産業界やIT業界も深刻な影響を受けており、企業はリストラや給与削減を進めています。
特に不動産業界では、政府の規制強化により従業員数が大幅に減少し、ブルームバーグの報告では2026年までに500万人が失業リスクにさらされると予測されています。IT業界も競争が激化しており、京東や淘宝などの大手企業も新たな雇用を生む余裕がなく、リストラが進行中です。
さらに、国営企業や中央企業でも、厳しい採用基準と限られた枠の中で、農村出身の学生が職を得るのは難しい状況です。多くの新卒者は結局「柔軟な雇用」として、フードデリバリーなどの低賃金の労働に従事するしかなくなります。しかし、フードデリバリー業界も競争が激化し、収入が急減しています。自動運転技術の進化により、デリバリー業やライドシェアサービスの労働力も徐々に減少しています。
専門家の見解と今後の展望
中国経済が改善しない限り、若年層の失業問題はさらに悪化する可能性が高く、専門家は社会不安が引き起こされる可能性を指摘しています。バングラデシュでの学生の抗議運動が中国の若者たちに影響を与える可能性があり、中国共産党の統治に対する抗議が広がることを政府は最も恐れているとされています。
まとめ
中国の若者失業問題は、経済の低迷、企業の採用基準の厳格化、政府のデータ改ざんなど、様々な要因が複雑に絡み合って発生している深刻な社会問題です。この問題は、中国の未来を左右する重要な課題であり、早急な対策が必要となっています。
