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スパイ気球の次は「スパイクレーン」?

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中国のスパイ気球に続き、米国内各地の港湾で操業している中国製のクレーンが話題になっています。

 

米政府の新たな懸念ースパイクレーン

米国防総省は、全米の港で使われているクレーンが、中国共産党の新たなスパイツールになりかねないと懸念しています。

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、米当局者らは、全米の港湾で使われている中国製の巨大クレーンが、中共当局の偵察ツールになっている可能性があるとの懸念を強めています。

これらのクレーンは、中国の上海振華重工(ZPMC)製で、比較的によくできていて安価だが、コンテナの出発地と目的地を登録し追跡できる高度なセンサーが搭載されているといいます。 このため、中国共産党が米軍関連の物資の移動に関する情報を得るために使用しているのではないかと懸念されています。

米スパイ防止活動機関の元幹部ビル・エバニナ氏によると、物資の動きを妨害しようとする人物がこれらのクレーンを遠隔で操作することができる可能性もあると述べています。

エバニナ氏は、中国通信機器大手のファーウェイを引き合いに出し、「クレーンは新たなファーウェイになり得る」「これは、合法的な事業とそのふりをした秘密裏での情報収集活動との完璧な組み合わせだ」と述べました。

一方、ファーウェイは、同社の製品は国家安全保障上のリスクではないと主張しています。

米国防総省や国家安全保障当局の関係者も、ZPMC製のクレーンを「トロイの木馬」になぞらえています。

ZPMCによると、同社は現在世界のクレーン市場で70%前後のシェアを確保しており、100カ国以上で機器を販売してきたといいます。

ある米当局者は、米国の港湾でのZPMC製の船舶貨物陸揚げ用クレーンのシェアは80%近くに達していると話しています。

ZPMCは中国交通建設(CCCC)の子会社でもあります。中国交通建設は「一帯一路」構想の主要な請負業者の一つで、インフラ建設などを通じて、南シナ海への中国の軍事的拡張を進めています。米商務省は2020年、中共の軍民融合計画に関与しているとして、CCCC子会社5社を「エンティティリスト」に掲載しました。

米国の国家安全保障当局は近年、手荷物検査システムや変圧器といった中国製各種機器について、米国での監視活動を容易にしたり、混乱を助長したりする恐れがあると指摘しています。

また、中共が戦略的な投資を通じて世界中の港に対する支配を強化していることへのより幅広い懸念を示しています。中国は世界中で新規導入される輸送用コンテナのほぼ全てを製造し、輸送データサービスを管理しています。

上海振華重工(集団)股份有限公司(ZPMC)とは

中国名:上海振華重工(集團)股份有限公司
英語名:ZPMC(Zhenhua Port Machinery Company)
親会社:中国交通建設(CCCC)

 

同社は主に、陸上コンテナクレーン、タイヤ式コンテナガントリークレーン、バルクローダーとアンローダー、バケットホイールスタッカー、ガントリークレーン、フローティングクレーン、建設船、および大型鋼橋部品を生産している。 設計、製造、据付、試運転、輸送、アフターサービス、新製品開発など、幅広い業務を行っている。

wikipedia

中共官制メディア「新華網」は、2017年に次のように伝えています。

1992年に創立された上海振華重工(集団)股份有限公司は、世界最大の港湾荷役機械メーカーだ。2017年7月現在、振華重工の製品はすでに世界の98ヵ国・地域に輸出されており、そのうちガントリークレーン製品が世界市場シェアの80%を上回り、19年連続で世界市場でシェア1位を維持している。  

新華社

中共の海外向け国営放送CGTNによると、1994年に米カリフォルニア州マイアミ港に初めてこの種の重機を提供したとしています。また、1999年にはドイツ市場に進出しています。

海外拠点

米国、ブラジル
オランダ、ドイツ、スペイン、
トルコ、ドバイ、アブダビ、南アフリカ、
ロシア、インド、韓国、ベトナム、マレーシア、シンガポール、豪州

日本の港にもZPMC製クレーンが導入されている

ZPMCの海外拠点に日本は載っていませんが、日本でも同社製品はすでに使われています。

日本では、2009年2月に初めてZPMC製のトランスファークレーン(RTG)が、東京港大井コンテナ埠頭6・7号ターミナル(日本郵船東京コンテナターミナル)に導入されました。

 

一方、気になるのは、今回のスパイクレーンに関して、米国と韓国のメディアの報道はあるものの、日本メディアの報道が皆無ということです。

あなたの身近にも中国製スパイツールが潜んでいる

米国のコンサルティング会社は、「中国のスパイ活動はあらゆる場所である」と警告しています。

スパイ気球やクレーンといった国家安全保障に直接影響を与える分野だけでなく、個人が使用する電子機器や家電の中にもスパイウェアが組み込まれていることはすでに承知の通りです。

「個人の情報はバレてもスパイ利用されるようなものはない」と思う人もいるかもしれませんが、中共はあらゆる情報を収集して、それを政治に利用します。TikTokもそのツールの一つで、収集された情報は選挙に利用され、ユーザーに彼らが買収した候補者に有利な情報を送り込むのです。

私たちが普段使う家電の中にもスパイツールとなっているのが多くあります。以前から電気ケトル、ロボット掃除機、テレビ、アイロン、コーヒーメーカーなどに監視措置が組み込まれているのは分かっていましたが、最近は照明器具まで国家安全保障を脅かす可能性があると指摘されています。

米コンサルティング会社ウーダ・ループは2023年1月に英政府に報告書を提出し、「中国が英国で使用される中国製モバイルの『モノのインターネット(CIoT)』チップを利用して個人のあらゆる情報を収集することができる」と指摘しました。「家電製品、自動車、コンピュータそして照明器具にまで組み込まれたこのチップは『トロイの木馬』になり、国家安全保障を脅かす可能性がある」と分析しています。

報告書では、現在3つの中国企業(上海クエクテル、フィボコム、チャイナ・モバイル)が全世界CIoT市場の54%を占めており、テスラ、HP、インテルなどの世界的な大企業を顧客としていると指摘しました。事実上、日常で利用するほぼすべての電子製品に入っている中国製チップがスパイ活動に活用され得るということです。

台湾の自由時報は専門家の話を引用して、「中国はこのチップを通じて米国の兵器の流れを追跡し、台湾に流入しているかどうかがわかるようになる」とし、「各国はすべてのサプライチェーンからこのような中国製品を排除し、できるだけ早く政府機関(の電子製品)に対する全面調査をしなければならない」と警告しています。

 

 

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